が7年ぶりに、単身赴任先から戻ってくることになった。結婚して23年、そのうち、別々の生活が7年。約3分の1と思うと、長いような短いような…。

家にいた頃は、朝早く夜遅い毎日で、ゆっくり話す時間もなかったけれど、単身赴任で彼はかなり変わった。電話でよく話すようになったし、家事の大変さがわかったのか、いろんなことを感謝してくれるようにもなった。
でも一方で、二人で4泊以上一緒にいると、一人暮らしで慣れたマイペースぶりが自然と出て、よくけんかになった。「4泊目以降は要注意」が二人の暗黙の了解になった。だから、これからまた共同生活ができるのかなぁ…と、ちょっと不安でもあった。

っ越し荷物が届き、段ボールを開けていく。その中に真っ白い、大きな鍋のような琺瑯(ほうろう)を見つけた。 「これ、何?」 「洗い桶。きれいやろ?一人で晩酌するときは、それに氷入れて、ビールとかお酒を冷やしてテレビのそばに置いとくねん。立ったり座ったりせんでええから便利やで。ホウレン草とかの野菜もそれで洗うと、土が取れてるかどうかわかるからきれいに洗えるねんで」

7年間、彼は私以上に工夫を凝らして一人の時間を過ごしてたんだなあと、
ちょっと感心した。

片づけもようやく一段落した日曜の夕方。ふと窓の外に目をやると、たくさんのヒマワリが風に揺れている。

今住んでいるマンションの前は、車のあまり通らない静かな道で、どなたかがお世話をしてくださっているのだろう、四季折々の花が咲いている。

は菜の花、梅雨はアジサイ、秋はコスモス、そして冬は椿や水仙…。
年中、美しい花や緑が眺められるのは、本当に贅沢なことだ。
二人でべランダに椅子を出して、夕暮れの風に当たりながらヒマワリを眺めた。
「気持ちがいいから、今夜はこのままここでごはん食べようか」

夫がさっそく桶に冷水を張って、セロリやトマト、キュウリを洗う。
スライスして盛りつけて、オリーブオイルとバルサミコソースをかけるだけの簡単サラダの出来上がり。
白ワインを、氷を浮かべた洗い桶に入れ、ベランダにキャンプ用のテーブルを出して、乾杯をした。
「これからも、どうぞよろしく、ね」

日本人になじみの深い琺瑯も、今では家庭用品の製造ができる工場は日本で数社のみ。昭和9年創業の野田琺瑯がつくる丸型洗い桶は、熟練の職人が手仕事で鋼板を曲げ溶接して生地を作る。その後も多くの工程を経て、釉薬(ゆうやく)を施し、焼成炉に入れて約830度の高温で焼き上げる。琺瑯は表面がガラス質のため、雑菌の繁殖を防ぎ、においがつきにくく、形もずんどう型なので、野菜を洗うのに適しているほか、ガス火にかけて茹で物にも使える。
野田琺瑯株式会社 東京都江東区北砂3-22-22 TEL 03-3640-5511 [丸型洗い桶]
ジオシリーズマンションに関するお問い合わせはジオラブ梅田まで 0120-8923-01 受付時間:午前10時〜午後6時(水曜・木曜定休)