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私は想像する。ふっくら炊いた白いごはん。私のは梅干しをひとつ埋め込み、夫のは間におかかをはさむ。卵焼きも別々。夫用は砂糖を入れて、銅の卵焼き器できちんと巻き上げる。私用は断然砂糖なし、フライパンでジャジャーッと広げたのを菜箸でまとめ、ふんわり不定形に焼き上げる。結婚当初はよく喧嘩をした卵焼きだけど、今はお互いの好みを尊重して、別々のスタイルに落ち着いた。
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そこに、夫のリクエストで定番となったサツマイモの甘煮が欠かせない。青みは万願寺唐辛子かな。たらこを中心部がしっとり感を残すようにあぶり焼きして、おかずの間にきゅっと押し込む。そうだ、牛肉とごぼう、実山椒で甘辛い有馬煮を作って添えよう。
夫の喜ぶ顔が目に浮かぶ。 |
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夫は人一倍、おべんとうに愛着がある。生家がお店をしていたので、子どもの頃のお弁当はご近所の寿司屋の海苔巻きと決まっていた。まだ結婚する前のこと、宝塚のファミリーランドや芦屋のロックガーデン、須磨で海水浴…デートはたいていおべんとう持参。プロポーズの動機の幾分かはおべんとうが占めていたのだと思う。今でもおべんとうを作るときは、珍しくキッチンに入って来ない。
フタを開けたときの「わっ」というサプライズがうれしいのだ。
「さて、どこへ行こうかな」夫はインターネットで目的地を探している。「秋らしい景色を見るのもいいよね」「ポンポン山もいいなぁ。高槻からバスに乗って…」「どれどれ」私も画面をのぞく。リタイアした夫との何げない二人暮らしに、遠足のわくわく。
お天気の週間予報もチェックしなくちゃ。 |
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