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明治初期からの歴史と伝統がある山本のバラ栽培は、愛好家が急増した昭和初期には全国の生産高の80%以上を占めたという。
そんな伝統を偲ばせる、小さなバラのナーセリー(生産者)がある。素敵なご夫婦が手作りで経営し、全国のオールドローズファンを魅了してやまない「ニューローズ」阪上勘右衛門商会だ。
一年に一時期しかない5月から6月のオールドローズの開花期には、北海道や九州、関東からも、お目当ての花に逢うために、この小さなバラの聖地へ大勢の人が訪れる。「『この子にもう一度、逢いたくて』と、それはもう恋心というか、肉親の愛情というか、皆さん、いたたまれずにお越しになるという感じなんですよ」お客は圧倒的に女性が多い。この時期は園内がバラの香りとエレガントな色、そしてため息で満たされる。 |
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今、世界中には4万種ともそれ以上あるともいわれるバラは、競馬馬のサラブレッド同様、系譜が明確に記録されている。それをたどると8種類の原種のバラへと行き着くそうだ。現在の大半のバラは、1867年に第1号が誕生した四季咲き性のハイブリッドローズ(モダンローズ)だが、こちらの「ニューローズ」の専門はそれ以前のオールドローズ。
モダンローズが日ざしを浴びてまばゆく映えるのに比べて、オールドローズは中間色が多く、花もうつむきがちで派手さはないが、心を癒してくれる。女性の心身と美容に及ぼす力は「エリクシール」と讃えられる。
それは中世のヨーロッパで、錬金術がめざした不老不死・永遠の生命を叶える万能薬のことだ。 |
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「ニューローズ」では、自家で育てたバラ苗を、先駆けとして作り続けてきたハーブ類と共に通信販売している。
バラの花を撮るのは難しい。一年間育てて、美しい時期は一瞬といっても過言ではないほど短い。
奥様、ときにはお嬢さんが撮影係で、手作りのカタログを発行している。そのカタログには、毎年10〜20種が新たに英国から輸入されデビューする。
しかし、輸入した苗をそのまま販売するのではない。日本の風土にたくましく根付くように、野イバラに接ぎ木をして育て、増やす。ここにも山本発祥の接ぎ木の技術が生きている。カニ殻のキトサンや木酢液、堆肥の有用微生物の力を借りて減農薬に努めて育てたバラの苗を送るときは、わが娘を嫁に出すような心境だそう。宅配便で送るから
「本当の箱入り娘ですよ」とご夫婦は笑う。 |
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山本やお隣の阪急中山駅そばにも、ナチュラルな雰囲気がすてきな薬局「チトセファーマシー」があります。
本店は小林にあり、こちらが地域の人々の健康づくりを願ってプロデュースするカフェやショップが人気を集めています。その最初にできたお店がJR中山寺駅の近くにある
「C ガーデンカフェ」中山店。人間が本来持っている自然治癒力を高めるように、専属の栄養士さんにより考えられたメニューが用意され、さまざまな花のはちみつやちょっと珍しいフレーバールイボスティー、薬膳菓子などのショッピングも楽しめる。 |
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山本駅前から市街地を背に車を走らせると、山手台を経て、道は自然に中山五月台へと続く。そこから長尾山トンネルをくぐると、切畑を経て、境野に至る。
ここは神戸市北区と三田市、猪名川町に囲まれた宝塚市の最北端エリアだ。のどかな農村風景が続く「え、こんなところに?」という一角に、日本中からガーデン好きが訪れる「植花夢」がある。
1万2千坪にも及ぶ低い山地に、5つの池を生かしたいくつものテーマの異なる庭園が隠れている。歩いて回るのにざっと1時間半はかかる。ここは、その主、若生真理さんが15年前に土地を買い、思い通りに木や草花を植えて育ててきた花と緑の見本園であり一大研究所なのだ。 |
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「植花夢」の風景を眺めると、さまざまな木や草に存在感があって、しかも庭にありがちな作り物くささが微塵もない。そこに豊かな自然があるのだ。ところがよく見ると、その木や草の葉の色が実に多彩なことに気づく。
緑の濃淡、黄味や赤味。艶やかたち。濃淡が美しい斑入りの植物も多い。そんな表情の違う緑がまるで画家の色使いやタッチのように、繊細な計算で組み合わされている。
ここは、山本で花や木の美を追究し、かつては花博、テレビの園芸番組と活躍され、海外の園芸にもくわしい主が、本当に作りたかった庭園の集大成なのだ。そこに足を踏み入れることのできる幸せをそっと噛みしめる。 |